新しい風を杜の都へ
仙台市長 奥山恵美子
みなさん、こんにちは。
昨年8月24日に、第33代仙台市長として登庁してから、早や7ヶ月が過ぎ、3月の第一回定例会では、私にとって初めての通年の予算である平成22年度予算及び組織改正を含む各般の条例等を可決いただくことができました。
予算、組織、人事と行政の仕事を進める上での3つのツールがそろい、いよいよ本格的な市政運営のエンジン始動と新たな気持ちでおりました矢先、去る4月4日、故藤井黎元市長さんがご逝去なされました。昨年の春に肺がんが見つかり、5月に手術。7月の選挙期間中には、ご自宅でご静養しておられましたが、応援のマイクを握ることができないのが残念だとおっしゃって、メッセージを寄せていただいたのが、昨日のことのように思い出されます。
藤井元市長さんには、これからも折につけ、ご意見をいただきたいと思っておりましたのに、本当に残念でなりません。この上は、末永く、21世紀杜の都仙台の発展を見守っていただきたいと願っております。
さて、藤井元市長さんが進められた市政の基本が、市民とともに歩む市民協働の精神にあったことは、誰しも知るところですが、私もまた、まちづくりの根本動力は、市民の方々の夢や願いの中にあると信じるもので、そうした多くの方々の思いや願いを受け止め、掘り起こし、練り上げて、政策として形にし、ごいっしょに推進していくのが、市役所の役目ではないかと思っております。 今年の施政方針の中で、私は、新年度を「市民のみなさんと社会の諸課題・潮流に先駆的に向き合い、市民のみなさんの暮らしの真の豊かさを実現していくための『行動する市民力』発動の元年にしたい」と申し上げました。
企画調整局から独立させた市民局の中に、市民協働部を設け、市民協働推進課、市民生活課、男女共同参画課、消費生活センターの4つの課をおきました。いずれも、市民のみなさんの主体的な参画によって、初めて施策が前進し、課題が解決していくという分野の事業ばかりです。
みどりと風の会のみなさんも、ぜひ、市民協働部にご注目いただき、「もっと、こうしたらいいのではないか」「これからは、こういう施策が必要ではないか」等々、たくさんのご意見をいただければと思います。
さて、ここで、今、仙台が直面している課題について、ちょっと復習をしてみたいと思います。
一番の大きな課題は、日本全国どこでもそうですが、少子高齢化の進展とそれによる人口減少社会の到来です。現時点での仙台市の人口は、103万1904人(H22年4月1日推計人口)で、おそらくここ数年をピークとして仙台も人口減少局面に入ると予想されています。すでに14歳以下の子どもたちの数は、昭和60年をピークに、平成21年では138,088人で約30%少なくなっています。一方高齢者の方は、年々増加の一途をたどり、70歳以上の方は、この10年で約48,000人増えております。(下図参照)

こうしてみると、仙台でも、生産年齢人口層(15歳~64歳)は、すでに減少してきていたことがわかります。生産年齢人口の減は、目に見えるところでは、毎日の地下鉄やバスなどの定期券の利用者の減となって現れるほか、長期的には、税収の減をもたらし、市の財政を脅かす要素ともなってきます。
また、人口は、仙台市内で、均一に減少しているわけではありません。みなさんもすでにご承知のように、鉄軌道の駅の周辺、新田、岩切、愛子、落合、富沢、南仙台等では、若い子育て世代が流入し、周辺の小中学校の児童・生徒や保育所の待機児童数の増が顕著になっておりますし、一方、昭和30年代から40年代に開発された旧市街地の外縁部の丘陵地帯に点在する団地郡は、急激な高齢化の波に見舞われており、団地内の商店の廃業にともなう日常の買い物の場の消失や地域の足の確保の困難といった事態に直面しています。仙台の街が、まるでレンコンのように、人口減と人口増がまだらに展開しているということがおわかりいただけるかと思います。

そうした長期的な課題を念頭においての、今年の市政運営ですが、大きく二つの課題に向けて、力を注いで行きたいと思っています。一つは、市民のみなさんの「安心を支える政策」。二点目は、これからの仙台の「まちの希望をつくる」施策です。 まず「安心を支える政策」ですが、未来を創造する子どもたちを健やかに育む取り組みとして、認可保育所の前倒し整備をはじめ、せんだい保育室や家庭保育福祉員、幼稚園の預かり保育などの保育資源を活用し、保育サービス拡充に努めていきます。加えて子育て支援として、児童館の整備や地域と学校が連携した放課後子ども教室の設置を進めるほか、子どもたちが自立して生きていく力を身に付けられるよう、基礎となる教育の充実を図っていく予定です。さらに、暮らしの安心の実現を目指す取り組みとして、防災対策として、宮城県沖地震等の災害に備え、消防ヘリコプターの更新を勧めるとともに、地域と連携し災害時要援護者の支援体制の確立を図るなど、災害対応力を強化してまいります。
二点目の「まちの希望をつくる」施策とは、言い換えれば、これからの仙台の進むべき道を探る取り組みともいえます。まず、仙台の未来を描く「総合計画」の策定があります。また、同じく杜の都の環境プランも議決を要する大切な計画です。地下鉄東西線の開業を見据えた機能集約型都市の形成を促進する都市交通体系の再構築、道路、橋、市民利用施設等、都市のインフラの老朽化に対応する総合マネジメントプランも検討を加速しなければなりません。
こうしたさまざまな施策を展開していくためには、仙台市の能力もさらにレベルアップしていくことが求められます。去る3月に策定した「仙台市行財政改革プラン2010」においても、市役所の自己変革として、1.多面的・機動的に活動できる職員への進化、2.縦割りの弊害を排除した効率的な組織運営を掲げていますが、私は、仙台市の職員は、潜在的には、おしなべて高い能力を持っていると考えております。たとえば、昨年1年間の業務改善・意見提案には17件の応募があり、うち5件が3級と4級に認定され、褒章を受けました。また、総合計画への職員意見提案にも、22の部局から、主事から理事・局長クラスまで185件の提案がありました。こうした市の職員の能力にさらに磨きをかけ、しっかりしたヴィジョン、方向性のもとに、力を結集していくことが、まちづくりの大きな駆動力になるものと考えております。
まずは、その第一歩として、前例を踏襲するのではなく、自分の頭で考え、自分の言葉で語ることを目指していきたいと思っています。
仙台のこれからのまちづくりを進めるに当たっては、いくつもの課題やハードルがありますが、仙台市役所全体が常に“うさぎの耳”を持ち、市民の皆さんと力強いタッグを組んでいくことで、新しい風を杜の都へ吹き込むことができると確信しています。
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